始まりの季節

2024/04/03
STAFF
春、入学や入社で、新しい生活が始まる方も多くいらっしゃることと思います。
私は、この季節がとても好きです。ワクワク、ドキドキしながら新しい始まりに向けて、髪の毛を切りにきて下さるお客様。緊張しながらも楽しみにしている気持ちが伝わってきます。
私にもそんな時があったなぁ…なんて。思い返すと数十年も前になってしまいますが、美容の世界に足を踏み入れた時、私も同じ気持ちでした。
秋田県の中でも「ど」がつく程の田舎で育った私。とにかく東京に憧れて、絶対に東京の美容学校に通いたかった。親に頼みこんで、幾つかの美容学校を見学した後に決めたのが、某有名化粧品会社が運営する美容学校だった。他の学校に比べれば少人数制だったのと、学校の敷地内に学生寮があるという立地から決めたのだ。両親にしてみれば、学校の敷地内に寮があることが何よりもの決め手だったのだろうと感じている。自分が親になった今は、高校を卒業したばかり、田舎で育った娘を送り出すのはどれだけ心配だっただろうと思う。
入学式当日、父が一緒に出席してくれた。従姉に借りた、ちょっとブカブカなリクルートスーツに身を包んだ私、目の前の光景を見て思った。「どうしよう…私、大変な所に来てしまった…」みんな雑誌から飛び出してきたみたいに可愛いくて、オシャレ、キラキラしてる。田舎感丸だしの私は、入学1日目にして都会の洗礼を受けた。

入学式が終了し、父親を校門で見送った。何と声をかけたのか、かけられたのかはもう忘れてしまったけれど、父の姿が見えなくなるまで見ていた。そして寮の自分の部屋に入り、涙が溢れ落ちた。あんなに東京に憧れたはずなのに、あぁ、もうこれからは自分の力で頑張っていかなければいけないんだ…と、この時に初めて思い知った。
これが私の美容師人生の始まり。それから数十年、何度か美容師辞めたい…と思ったことはあったけれど、なんとか続いている。

春は、初心の気持ちを思い出させてくれる季節。
新しい始まりを迎えている方々を見ていると「頑張れー!!」と応援したくなる。